ハーフマウス設計まとめ(Bluetal編)
ハーフマウスのハードの設計について教えてほしいというコメントを頂いたので、自分が設計時に参考にしたサイトや、設計したデータを例に細かく説明したいと思います。
と言っても、ハーフマウスを作ったのは初めてなので、あまり良い設計とは言えませんが、設計で困った方に少しでも役に立てれば幸いです。
機械設計
自分が設計したマウス全体の3DCADのデータ(DesignSpark Mechanical用ですが)一応上げます。
https://drive.google.com/open?id=1-AvQCvNYsSK158O4JdniJXjnae_ctdMV
足回りに関してはこの辺りのサイトを参考にしました。
...磁気式エンコーダがいかに厄介なものであるかが分かりますね。
では、自分がした設計について画像を載せながら説明します。
この画像は左側の足回りです。
これだと構造が分からないのでバラしてみます。
左から、基板に載った磁気式エンコーダIC、円柱磁石、鉄スペーサ、磁石・スペーサ固定用カラー、モータマウント、シャフト、ベアリングx2、ギア付きホイール+タイヤです。
磁気式エンコーダを自作する際は、タイヤに連動して磁石が回る機構にしないといけないため、外側が固定されたベアリングの内側で回転するシャフトを介して連動させます。
そのため、ホイールはベアリングに圧入したシャフトを圧入したときにベアリングの内側が当たるように設計しました。
実際に設計したモータマウントです。
部品を圧入して固定します。
シャフトの先にはこのようなカラーを圧入して固定します。
磁気シールドとして鉄スペーサを用いることでモータと引き合うことを抑止します。
(追記)片面2極の円柱磁石を使用すると、磁石とモータが引き合いにくいらしく、鉄スペーサが不要になるらしいです。(要検証)
↓新作で検証しました。手で回した感じは問題なさそうです。定量的な検証はまだできてないです。それなりに引き合ってました、鉄スペーサを使ったほうがいいです。
こんな感じにICの中央真上を磁石がタイヤに合わせてクルクル回ることで速度・角度を取得します。
しかし、実際は磁石がICの中央真上を回らず、ブレが発生することがほとんどです。
自分の場合はログを録ってみると、1回転ぶんの角度はほぼ線形でしたが速度では周期的なブレが見られました。
そこでソフトウェアによるエンコーダ補正が必要になったりするのですが、ブレはできるだけ抑えたいものです。
工夫として、モータマウント側にICを埋め込んでいる方もいます。
今回は使用しているベアリングが厚かったため、そのような設計は難しかったのですが、次回作では検討してみたいと思います。
・部品購入先
円柱磁石 - ネオジム磁石(N40)、円柱型、Φ3.2x2.3(mm)、径方向 | NeoMag
鉄スペーサ(径3L2.5) - 鉄 スペーサー 丸型中空 CF-0000E | ウィルコ
シャフト(径2L10) - SUS304 精密シャフト φ2 SRU-2000|ウィルコ
ベアリング - MR52ZZ | 小径深溝玉軸受 メトリックシリーズ | ミスミ
M1.4ナット - 黄銅(低カドミ材)六角ナット 1種 切削 | ミスミ
M1.4ネジ - 鉄 +低頭精密小ねじ(ラミクス)日東精工製 FX-0000EB|ウィルコ
磁石・スペーサ固定用カラー、モータマウントはDMM.makeのアクリル(Ultra Mode)
回路設計
(注)MIC5219のBYP-GND間の470pFのコンデンサはないほうが安定します。
高画質版 https://drive.google.com/open?id=126k1Gyz3q2q95FRHH1XI6E_DSuHA5Vxz
・主要部品購入先
マイコン - RX631 R5F5631PCDFM#V0 | マルツオンライン
スライドスイッチ - SSAJ110100 | ミスミ
ZHコネクタ - 20 Sets JST ZH 1.5mm 2/3/4/5/6/7/8/9/10Pin Straight | Aliexpress
3.3Vレギュレータ - MIC5219-3.3YML-TR | DigiKey
エンコーダIC - AS5145B-HSST | Arrow
モータドライバ - DRV8836 | DigiKey
フォトトランジスタ - LTR-4206E | DigiKey
赤外線LED - OSI5FU3A11C | 秋月電子通商
ジャイロ - MPU-6500 | Aliexpress
ブザー - SMT-0440 | DigiKey
nチャネルMOS-FET - 20pcs/lot IRLML6402 | Aliexpress, 20PCS IRLML6344 | Aliexpress
チップコンデンサ(1005,1206),チップLED(1005) - 秋月
チップ抵抗(1005) - マルツ
回路は特に凝った箇所がないため細かい説明は省略します。
レギュレータはアナログ系とデジタル系で分けたつもりです。
リセットスイッチはあっても使わないので今作から廃止しました。
ジャイロが2個載っていますが、この補正を試したく、モータの軸を中心に対称になるように実装しました。
NCピンにも配線がありますが、基板上の配線の問題でそうなっています。
LEDの電流制限抵抗は10kΩにしたところ、光ってはいましたがかなり暗かったため、電源のLED以外は1kΩにしました。
基板設計
モータの軸を中心に対称になるようにジャイロを実装したところ、エンコーダ基板をTOP面に半田付けすることができなくなったため、BOTTOM面に半田付けするようにしました。
(追記)旋回中心から機体先頭までの長さが長く、超信地旋回時に頭をぶつけることが多々ありました。設計時は気をつけてください。
最後に
設計頑張りましょう。
以下雑談
ハーフマウスを作る上で一番大変だったのは機械設計でしたが、部品の発注を怠ったこともじわじわ効いてました。
いつもは部品を早く発注するようにしていましたが、3月の終わりは某ゲームを買ったり出かけたりして、いや、そもそも1月にも別のマウス作ってたし...で金銭的余裕があまりなく、重い腰を上げながらようやく発注したと思ったら部品が届かず焦ったこともあったので、設計以上に部品の発注を早くするべきという知見を得ました。
あと、批判ではなく、ずっと思ってることがあるんですが、マイクロマウス ハーフサイズ競技という呼び方が今年から新しくなって、マイクロマウス競技と呼ぶようになったんですけど、自分はハーフサイズのマウスとクラシックサイズのマウスの総称がマイクロマウスであるべき(従来通りであるべき)だと思うんですよ...クラシックがマイクロマウスの後に付くか付かないかで競技が変わるの紛らわしすぎませんか、ハーフならハーフって言うだけで伝わると思うんですが、マイクロマウスって言うと旧:ハーフ?クラシック?ってなると思います。そういう呼び名に変わったのが今年からで違和感を覚えているだけなのかもしれないので、マウスを今まで知らなかった方は普通に受け入れられるんですかね...気になります。